バラのシーズンに入る5月、京成バラ園に行ってきました!
ここは、バラ愛好家のあこがれの場所。
初めての訪問だったので、感動の連続でした。
「京成バラ園 訪問記」バラ好きのあなたにお届けいたします。
私の趣味は、ガーデニング。香りのいいバラが大好きなので、ハンドルネームは「かおる」です。太陽の光が降り注ぐ5月、前から一度は行ってみたいと思っていた千葉県八千代市にある京成バラ園に行ってきました。ここは、700品種7,000株が咲き誇るバラの「聖地」。このバラ園に足を踏み入れられるなんて、ワクワクします。さらに、バラのシーズンということもあり、「ローズフェスティバル」が開催。期待が高まりますね!ゲートで、小さな女の子を連れたお母さんが、年間パスポートを提示していました。きっと、ピクニック感覚で何度も訪れているのでしょうね。
ゲートを通ると、私を最初に迎えてくれたのは、新品種の「ディズニーランド ローズ」。花とともにミッキーマウスの看板がとても愛らしいですね。オレンジ色のつぼみは、花びらが開いてくると、縁がピンク色になり、最後はすべてピンクに。まるでパレードみたいに色彩が鮮やかで、目を奪われます。房咲きのフロリバンダは香りがほとんどないそうですが、このバラに顔を寄せてみると、ほのかな香りが感じられました。ところで、ディズニーランド ローズは、アメリカのバラ育種会社であるジャクソン&パーキンス社が作出した3種類の中から、ウォルト・ディズニー社が選んだバラだそうです。アメリカでは3年前から販売されましたが、日本ではすぐに販売とならず、日本の風土で育てられるかテストを重ねた結果、2006年に販売がスタートしたそうですよ。
ローズガーデン入口の正面に見えるのは、フランス様式の整形式庭園。幾何学模様や左右対称に整備されたスタイルが特徴なんですって。ここに立つと、ローズガーデンの全景が見えるんですよ。色とりどりのバラが満開に咲いていて、圧倒されます。この風景は「パラダイス」という言葉がぴったり!整形式庭園は、ミニアチュアローズやハイブリッドティーローズ、そして、噴水の周りには、房咲きのフロリバンダローズが咲いています。それではここで、マメ知識。17世紀、フランスの王族や貴族の間で、整形式庭園が一世を風靡(ふうび)しました。その中でもヴェルサイユ宮殿の庭園は代表格。平坦で広大な敷地を有したヴェルサイユ宮殿は、庭だけでなく、等間隔にまっすぐ並ぶ木々も幾何学的に刈ってあり、左右対称に大装飾花壇と芝生が広がっていたそうです。
ハイブリッドティーローズのエリアで、私の目を釘付けにしたのは濃いピンク色の「芳純(ほうじゅん)」。このバラは、資生堂のばら園シリーズで使われたんですよね。私が小さかった頃、母親が使うばら園の香水はあこがれでした。京成バラ園では、芝生に入って花の香りをかぐのは自由ということなので、そっと芳純に顔を寄せてみました。甘くやさしい香りが鼻をくすぐります。これは、まさに化粧品のフレグランス!?ではなく、芳純から化粧品のフレグランスが作られたのです。この芳純を作出したのは、ミスターローズの異名を持つ、世界的なバラのブリーダー、故鈴木省三さん。生涯で108品種を作出したとのこと。鈴木さんは京成バラ園の創設に参加し、研究所所長に就任。資生堂のばら園シリーズの開発にも参画したそうです。
バラの丘に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、色彩豊かなクライミングローズ(つるバラ)のアーチ。お客さまを包み込むように歓迎してくれるアーチは、ロマンティックな雰囲気をかもしだしています。お客さまを包み込むように歓迎してくれるアーチ。このアーチを通り抜けると、小高い丘からローズガーデンが一望でき、正面から見る全景とは違った表情が見られます。この丘には、バラ愛好家に大人気のアンティークタッチのバラが咲いています。このバラは、オールドローズの特徴である豊かな香りや、クォーターロゼット咲き、カップ咲きを受けつつ、モダンローズの豊富な花色や四季咲き性を併せ持っているそうです。これらの特徴が、バラ好きな方を魅了しているのですね。バラの丘にたたずんでいると、目だけでなく、花から放たれる香りも心ゆくまで楽しむことができますよ。
バラの丘に咲くアンティークタッチの「アンドレ ル ノートル」。17世紀に活躍したフランスの造園家の名前から由来しているそうです。アンドレ氏は、イタリア式庭園の影響を受け、ベルサイユ宮殿の整形式庭園を設計。宮殿の庭には、マリー・アントワネットがこよなく愛したバラが咲き乱れていたことは有名な話です。花の「アンドレ ル ノートル」は、グランディフローラタイプ。このタイプは、ハイブリッド ティーの花型で房咲きが特徴だそうです。やわらかいアプリコット色のこのバラは、2000年ローマ国際コンクール金賞、2000年ジュネーブ国際コンクール芳香賞、2000年ベルギーコルトライク国際コンクール金賞など、数々の賞を受賞していて、世界でも名高い大輪咲きの香りの名花です。
ローズガーデンの奥に広がる、散策の森。雑木林の根元には、山野草や緑陰植物が見られ、自然のたたずまいを残している森ですね。散策の森近くには、イギリススタイルの自然風庭園が広がっています。このエリアには、オールドローズや原種の他に、小さな花々や木々があり、のんびりとした雰囲気。ここで、赤ちゃんを乗せてベビーカーを押しているお母さんを見かけました。お散歩感覚で回れるなんていいですね。庭園内には池もあります。水性植物が咲いていて、とても風情がありました。ところで、イギリススタイルの庭は18世紀に誕生したそうです。17世紀にフランスで生まれた整形式庭園が、その後イギリスにも伝わったのですが、18世紀には人工的な庭園への反動により、自然の風景を生かしたスタイルに注目が集まったそうです。
整形式庭園と自然風庭園をつなぐ場所に、ローズガーデンで一番大きいバラのアーチがありました。満開に咲いた華やかなピンク色の花が圧巻です。アーチのつるバラは「フランソワ ジュランビル」。京成バラ園がオープンした1959年に植えられたものだそうです。47年間、枯れることなく成長しているんですね。アーチを通り抜けて、整形式庭園に戻ると、ファッションデザイナーの桂由美さんがプロデュースした「ガゼボ」がありました。欧米では、ガゼボの下で結ばれたカップルは、一生住む家に困らないと言われているそうです。これまでに、6、7組のカップルが結婚式を行ったとか。ところで、「ローズユミ」というバラをご存じですか?このローズユミは、桂さんから、ご自身の名前がついたバラが欲しいとの申し出があり、京成バラ園が真っ白なバラを選んだとか。そのご縁で、ガゼボがあるんですね。
ちょっと気分一新!大温室の中に入ってみました。ちょっぴり蒸している室内では、熱帯性の観葉植物や、草花が見られるんですね。すくっとそびえるバナナの木には、実がなっていました。なかなか見られない光景に感動です。大温室を出ると、ロイヤルのコーナーがあります。ここは、外国の王室や日本の皇室のバラを集められているのです。皇太子妃時代の美智子さまに捧げられた、鮮やかな濃いオレンジ色の「プリンセス ミチコ」、白をベースにピンクに縁取られた、モナコ公国の故グレース・ケリー妃に捧げられた「プリンセス ドゥ モナコ」など、ロイヤルのコーナーだけあって、花々は可憐で上品な印象でした。愛子さまの名前が付けられたピンクの愛らしいバラもありました。この「プリンセス アイコ」は、京成バラ園が作ったそうですよ。
地中海コート・ダジュールに位置するモナコ公国―フランスの名門バラ作出会社メイアンは、この美しい小国の王室と深いつながりを持ち、数々のバラを捧げてきました。今回は、その華麗な物語をご紹介します。グレース王妃(グレース・ケリー)ハリウッド・スターからモナコ公国王妃へ転身はシンデレラ・ストーリーそのもの。1956年の結婚式に際し初めてメイアン社から贈られたのは「グレース・ドゥ・モナコ(現在は発売されていません)」。夫妻は喜び、作出者であるF.メイアンにメダルを授与。1982年、彼女が見初め、ふたたび自分の名前を与えたいと願ったのは「プリンセス・ドゥ・モナコ」。奇しくも、商品化を目前にしたその年の9月、妃は悲劇的な自動車事故により、この世を去った。 しかし、「クール・ビューティ」と呼ばれた気品あふれる美しさと、誰からも敬われた人柄は、自身が「モナコの色」(赤と白)と呼んだこのバラに永遠に刻まれたのです。
ロイヤルのコーナーの前には、ミニアチュア系のパティオローズが咲いていました。小さな花々ですが、1つの枝にたくさんの花をつけるので、とてもあでやかな美しさがあります。由来は、パティオ=中庭でコンパクトに育つミニアチュア系のバラだそうです。大輪系に引けを取らないほど、華やかで美しい花色が魅力的ですね。パティオローズは、ミニアチュア系には珍しいアンティークタッチのバラで、病気に強い品種。日当りは一日ではなく、半日程度にした方が花色が美しくなるらしく、日当りが少ない場所でも、十分に花を咲かせるそうですよ。ベランダや玄関先、ウッドデッキのテーブルの上など、お気に入りの場所に飾っておくといいかもしれないですね。見るたびに心がいやされるでしょう。
優しいピンク色が花びらの縁を彩る「ホワイトピーチ オベーション」。コロンとしたカップ咲きが、たまらないほど愛らしいです。一つの株にたくさんの花をつける上、四季咲き。花もちがよく、少々環境が悪くても育つということで、今や大人気の品種なんだそうです。そして、もう一つ。パティオローズの中で、「ホワイトピーチ オベーション」と同様に人気が高いのは「コーヒーオベーション」。何といってもその特徴は、名前の通りコーヒー色をした花。深みのある茶色なので、シックでありながら、ゴージャスな雰囲気があるのです。このバラも四季咲きですが、夏は朱に近い色で咲くそうです。1品種で異なった趣が楽しめるなんて、本当にすてきです。
「京成バラ園 訪問記」いかがでしたか?ローズガーデンを回ったあとは、ガーデンレストラン「ラ・ローズ」でちょっと遅めのランチ。色々な料理がちょっとずつ、1つのプレートに盛りつけてあり、目でも楽しませてくれました。お味の方はというと、文句なしのおいしさ!バラだけでなく、お料理も手を抜いていないのがいいですね。食事が済んだら、もちろんお目当ては買い物です。ガーデンセンターで、パティオローズを2種類買いました。1つはお部屋に飾れるようなバラが欲しかったので、自分のために。もう1つは、バラ好きの義母への贈り物です。満足感いっぱいで、京成バラ園をあとにしました。たくさんのバラがあでやかに咲き乱れる5月中旬から6月下旬は、見応えがあります。バラに興味のある方は、ぜひ一度京成バラ園を訪れてみてください!言葉に尽くせない感動がこみあげます。